みなさんは、「外貨両替レートってどうやって決めているんだろう」と思ったことはありませんか?
空港や銀行、街中の金券ショップなど外貨両替を出来る場所はたくさんありますが、どうしてそれぞれのレートは違うのでしょうか。
今回は、そんな疑問に外貨両替商がお答えいたします。
※この記事は、2019年12月発行メールマガジンを掲載しております。
まず
為替レートとは
外国為替市場において異なる通貨が交換(売買)される際の交換比率です。
ご存じの通り、外国為替市場実勢相場で外貨の両替ができるわけではなく、相場や経済指標等を加味しながら銀行や両替専門店はそれぞれ両替レートを決定しています。
金融機関等が外国為替取引をする際の基準となるレートのことを仲値(なかね)といいますので以下そのように表記します。
当店の場合、仲値を参考にしながら、
「外貨の売値と買値を、仲値からいくらのスプレッド(幅)にするのか?」を毎朝独自に決定しています。
基本的にスプレッドは毎日ほぼ一定ですが、市場や在庫状況等により少しずつ売値側に傾いたり買値側に傾いていったりします。
ですので、米ドルだけをみても、売値がものすごく仲値に近い時があれば、
逆に買値がものすごく仲値に近い時もあります。
例えば、執筆日の2019年11月29日でみてみましょう。
今朝の仲値の動きはこのようになっています。
執筆日は、当店では米ドルの在庫が比較的潤沢にあり、また、
ドル高円安傾向が続いている現状では米ドルを欲しい人が少ないと判断し、
買値*を仲値から1.05%のかい離率(どのくらい離れているかの割合)、
売値を特別セールで0.05%に設定しました。
*買値とは当店からみて外貨を買い取る、つまり、お客様からみると外貨を売る(外貨→日本円)ことになります。
では2019年9月5日はどうだったのでしょうか。
この時は米ドルを欲しいという需要が多く、東京都内の外貨両替店の店頭で米ドルが品薄状態でしたので、
買値が0.1%のかい離率
売値が0.8%でした。
たった2ヶ月でも、これほどの違いが出るのがお分かりいただけたでしょうか。
これは外貨に限らず、ホテルやエアチケットの料金にも同じ傾向があります。
繁忙期には値段が高騰し、閑散期には安くなる。
需要と供給のバランスで変動があるのはどの業界も同じことです。
旅行シーズン前で「米ドルが欲しい!」という方が多く、さらに円高が重なり「米ドルを売りたい!」という方が少ないタイミングの場合、市場の米ドル現金が少なくなりますので、
買値(外貨→日本円)のレートは良くなり、逆に売値(日本円→外貨)のレートは悪くなる傾向にあります。
これが、仲値から売買レートが一定に離れていない理由なのです。
一般的に、両替換金率は、
空港 < 銀行 < 金券ショップ < 両替専門店
の順番で良くなると言われています。
米ドルでみると、日本国内ではおよそ下記のようなレート設定になっています。
銀行 仲値から約3円程度の売買値設定
空港 仲値から約3円程度の売買値設定
金券ショップ 仲値から約1~4円程度の売買値設定
両替専門店 仲値から約0~2円程度の売買値設定
ただし、同じ空港内の同じ銀行でもレートが違っていたり、前述のように同じ店舗でも時期によってレート設定の幅が変わるので一概には言えません。
基本的に、銀行系列の両替店では売買レートのスプレッドは一定のようですが、金券ショップや両替専門店はタイミングによって変動します。
「外貨両替をするおすすめの場所!」といったブログを拝見すると、
「金券ショップが一番お得」や、「専門店の米ドル両替手数料は2.5円」といった記事をよくみかけますが、あくまで調査時点でのことですので、やはり最終的にはご自身で調べるしかありません。
お得な両替店を見つけるポイントとしては、「売買レートの差が狭い」ことが挙げられます。
売買レート共に、仲値に近い方がお客様にとってお得になりますので、一つの目安にされると良いかもしれません。
また、両替レートは良いが、外貨の在庫が無い場合や日本円が無いといったこともあります。
実際の両替の際には、外貨両替店に問合せをして外貨両替をされることをお勧めします。
*余談*
外貨両替店の店頭で見かける
「売る」と「買う」
はどっちなのか。
先程も出ました、外貨を「売る」と「買う」ですが、お客様からがどっちなのか分からない、といったご質問を時々いただきます。
外貨の売買は、銀行や両替商から見た「売り(Selling)」と「買い(Buying)」です。
お客様が日本円から米ドルにご両替、つまり米ドルを調達するときは、「銀行に米ドルを売ってもらう」ことになります。
反対に、米ドルを持っているので日本円に換金したい場合は、「銀行にドルを買って」もらうことになります。
「両替なのに売買?」と混乱する方がなかにはいらっしゃるようですが、これが外貨ではなく物だと考えると腑に落ちやすくなるのではないでしょうか。
少しややこしいですが、売りと買いを間違えないでください。