2003年、ユーゴスラビア連邦が解体し、最後までユーゴスラビア・ディナールを使用していたセルビアがセルビア・ディナール(ユーゴスラビア・ディナールと等価)に切り替えた。
セルビアは2008年の世界金融危機及び続いた欧州債務危機の影響を受けて経済が低迷、慢性的な財政赤字と高い失業率等の問題を抱えているほか、コソボとの関係が正常化に至っていないこともマイナス要因としてEU加盟には至っておらず、通貨ディナールもこうしたカントリーリスクに晒されている一面は否めない。
ユーゴスラビア紛争後スーパーインフレとなった際にはドイツ・マルクの方が使われていたが、新ディナールが導入され、2003年にはインフレが収集。
近年セルビア政府は産業育成と国営・公営企業の整理・民営化を目指して外国投資誘致を積極的に推進しており、特に自動車部品産業等への外国投資が増加しているほかインフラ分野では中国からの融資プロジェクトを実施している。
IFM(国際通貨基金)も経済状況が劇的な改善を遂げていると評価。
2018年1月に同国を訪問した安倍晋三首相はセルビアのEU加盟に向けて、経済支援を強化することを表明した。
EU加盟でユーロ導入は加盟交渉の時期も含め2020年という見通しで、それまでセルビアが欧州経済の全般的な回復基調を受けて経済成長を維持し、国内諸問題に積極的に対処し改革を継続すれば、通貨ディナールも安定して推移すると見込まれる。
なお、2020年現在未だ加盟には至っていない。
ディナールはアラブ地域などの多くの国で使われている通貨である。
各国で使われているが、独自で発行されているため価値はそれぞれ異なる。
ディナールの名称は、ローマ帝国の銀貨、デナリウスに由来する。
1セルビアディナール=およそ1.014円(2020年3月現在)