1993年にチェコスロバキア共和国がチェコとスロバキアに分離したため、急いでそれぞれ独立した通貨が発行されることになった。
チェコ共和国は2004年にEUに加盟以来経済成長の途を辿っているが、当初は恒常的な財政赤字が続いていたことからユーロは導入されなかった。
チェコ国立銀行(中央銀行)は2013年にデフレ回避のためコルナの対ユーロ上限を設定、為替介入を実施していたが、2017年には同政策(ペッグ制)を廃止、変動相場制に切り替えた。
市場は既に為替介入終了を織り込み済みで輸出への影響も限定的で、通貨コルナの大きな変動は今のところ見られていない。
ドイツに近い好立地条件を背景に東欧諸国随一の製造・輸出拠点(製造業、とりわけ自動車産業)としての地位を築き、外国投資が流入、近年は安定した経済成長を見せていることから為替動向も安定している。
2018年2月の金融政策決定会合で、中銀は政策金利を0.75%に引き上げた(過去半年間で3回目)。
対ユーロでコルナ高となっているためインフレの上ブレリスクは小さいと見込む。
一方で、政治の不確実性が為替動向に影響を及ぼす懸念も拭えない面もあり、極端な為替変動となった場合は政府が介入措置を取ることも否めない。
しかし、チェコ経済今後も民間消費と投資にけん引される形で安定した成長を維持する見通しから通貨コルナも安定して推移すると見込まれる。
チェコ政府としては、輸入インフレやユーロ共通の金融政策を負うリスクを勘案し、ユーロ導入には慎重な姿勢を維持しており、当面はユーロが導入されることはないと見込まれる。
1チェココルナ=およそ4.724円(2020年3月現在)