高インフレとマイナス経済成長で低迷基調を続けるルーマニアであったが、2007年にEUに加盟以来外国直接投資が増加し、順調に経済が伸びていた。
ところが2008年の世界的経済危機の影響から通貨レイは急落、財政悪化も進み、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、欧州委員会は同国向け総額200億ユーロの融資を決定した。
財政赤字縮のためルーマニア政府は公務員給与の削減や付加価値税(VAT)の引き上げ(19%から24%)を実施、この影響で国内消費が減退、経済成長も落ち込み、通貨レウも下落基調が続いた。
しかしここで生産と輸出を増加させる健全な経済成長を目指した結果、通貨安の恩恵を受けた輸出増(特に自動車産業)で急回復を遂げた。
VATはその後内需拡大を目指し9%まで軽減された。
1990年代は改革の失敗により急激なインフレが進行し、2005年にはルーマニア・レウが全世界で価値が最小の通貨単位となり、このときは100万レイ札も存在していた。
その後2005年7月1日、ルーマニアはデノミネーション(通貨金額の桁数表示が大きくなると経済活動に支障をきたすので、その解決のために通貨の単位を変更すること)を実施し、旧1万レイ (ROL) を新1レウ (RON) とした。
ルーマニアはEU諸国中最も人件費が低い国の一つで、これが自動車製造部門と農業部門において国内生産能力を上げる好要因となっており、ルーマニア経済を下支えているといえる。
通貨レウは欧州債務危機や政権交代の影響から対ユーロでレウ安傾向が続いていたが、減税政策や賃金引上げ政策等に後押しされ国内経済は堅調に推移するとみられ、通貨レウは今後は大幅な下落リスクもなく安定して推移するとみる。
ユーロ導入義務を課せられているが時期は未定。
2005年に導入された現紙幣はユーロ紙幣と同じ大きさである。
1ルーマニアレウ=およそ24.861円(2020年3月現在)